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『ジョブズ』はアメリカ 最後の輝きだった!

更新日:2020年10月10日

~宮台真司さんのアーカイブから学ぶ~

2017/08/30



・ジョブズはカウンターカルチャーつまりヒッピー(※)的なものの申し子だと言われている。

 ※1960年代後半にアメリカ合衆国に登場した、既成社会の伝統、制度など、

  それ以前の保守的な男性優位の価値観を否定するカウンターカルチャー の一翼を担った人々

・ジョブズは実はアメリカの本流あるいは本筋。

・ジョブズは、生い立ちや学歴はエリートじゃない。そのことを含めてアメリカの本質である。

・アメリカは、日本で江戸時代が始まった後ぐらいからイギリス国教会の宗教的抑圧から逃れて

 きた正教徒たちが作った宗教的新天地で、もともとオルタナティブな宗教生活やオルタナティ

 ブな生活形式を求める人たち。

 この人たちがヨーロッパとは違う新しい資本主義のスタイルを追求する、つまりオルタナティ

 ブなものを追求するというアメリカの精神の中から資本主義的なものの最も中核、本体にあた

 るものが生まれてきた

・カウンターカルチャーの本質は、「こんなはずじゃなかった感」。

・戦後復興や高度経済成長の中で、人々は輝きなどを期待していた。

 しかしそうした夢は実現されなかった、思ったものとは違った、こんなはずじゃなかった感に

 打ちひしがれた特に若い世代が別の仕方で輝きなどを求める。

・そこにヒッピーの運動、カウンターカルチャー アンダーグラウンドカルチャーあるいはドラ

 ッグカルチャーが出てきた。

・それがアップル的なものの母体である。

・70年代に入るとベトナム戦争に対する反省もあり、ドラッグカルチャーが良くないということ

 で、東海岸のIBM文化とは違う、西海岸のティモシーリアリー(米心理学者)という、コンピュー

 ターを使って輝きなどを求める運動があり、そこから出てきたガレージコンピューティングの

 流れがアップル。

・97年に、一度辞めたジョブズが復帰してiMACをリリースする。

・しばらくして彼が「Think different」、これはシンクディファレントリーと同じ言葉だが

 「違ったやり方で考えよう」平たく言うと「お前らは間違ってる」というメッセージ。

・「お前らは間違ってる」と、いきなり製品を売るときに言った。

 君たちは本当はそんなものが望みだったのか。早ければいいのか スペック が良ければいいの

 そんなものは輝きでもなんでもない。君たちが求めていたものが本当にそれではないだろうと。

 民衆に、「確かに」と思わせたところで「君たちが欲しがっているのは本当はこれのはずだ」

 というアプローチでアップルの製品をだすというのがジョブズのやり方だった。

・このやりかたで、ジョブズは、13・4年の間にアップルは一時株価7ドルだったが、今は、あの

 総資 産価値もエクソンモービルを抜いて世界一となった。

・つまり君たちが望んでいたのそれではないだろう、もう一つの価値もう一つの生活を訴える

 ことでお金を回して、あっという間に資本主義のど真ん中にいすわる

・これがアメリカンドリームそんなもの。

・彼自身の学歴を含めてジョブズの姿にアメリカそのものをみる。

・ジョブズだけが奇跡的に、もうモノの輝きが失われてしまったこの世界の中で、かろうじて

 モノの輝きを復活させた。

 でもそれはジョブズにしかできないプレゼンテーション、いろんなテクニックが巷では言われ

 ているがやはりテクニックじゃなくて彼の精神の神髄。

 我々は間違ってはいないか、あなた方は間違って生き方をしていないかという、このプレゼン

 テーションこれ日本人にはできない。

・日本人のプレゼンテーションというのは凡庸そのもの。

 まず製品を出す。「これは今までの製品に比べると cpu は〇倍で新しいです。速度は〇倍。。」

 というレベルのプレゼンテーション。ソニー含めて。

・ソニーを話題に出したのは、もともとジョブズがアップルの製品をプレゼンテーションすると

 きに、実はソニーの精神を魂を継いだプレゼンをしていた。

 しかし彼は復帰してからソニーのことは言わなくなった。ソニーがダメになったから。 

・ソニーも実は確かに高度経済成長時代に浮上して特に70年代以降市場席巻したが、やはり、小

 さいものを携帯出来るものを世に送り出して、「これは単に性能がいいだけではなくて、君た

 ちの今までの生活とは違う、これからの生活はこれなんじゃないのか」という形でスタイルを

 提案している。

 ソニーこれ以降、価値の提案、つmり、あなたたちの今までの生活は間違っていなかったかっ

 ていう提案をしなくなった

・日本人にもともと盛田さん(ソニー創業者の一人)のような特定の人を除いては、「実はあなた

 がたも生活は間違っている」と言うようなプレゼンテーションが出来ない。

・日本人はものまね小僧みたいなものが得意だが、アメリカのようなつまりオルタナティブな

 価値と資本主義のど真ん中のポジションを結合するってことはほとんどできない。

・カウンターカルチャーやオルタナティブなものを求める運動は、やはり上昇に対する要求で

 ある。

 上昇すると思ったら、思ったような上昇じゃなかった、間違ってなかったか、ということで

 オルタナティブな価値を提供するというところにポイントがある。

・高度経済成長時代だからこそカウンターカルチャーが出てきた。

・この先、アメリカも日本もヨーロッパの見通しが悪い。

 下がる方向に坂を下っているという感じ。こういう場合、オルタナティブは出てこない

 どうやって、転げ落ちるの食い止めるのかということに人々の関心が向いてしまう。

 夢の話をしてもリアルではない。

・高度経済成長時代というのは南北の格差は広がった時代ではあるが、同時にアフリカを中心

 とする国々の独立や独裁をベースにした開発が進んでいた時代であった。

 つまり近代化がどんどん進んでいく。

・異論など矛盾も出てくるけれども最終的には SF 的な意味で、ものがもっと豊かになれば

 解決するんじゃないかというふうに、それこそ南側の人でさえ思っていたって時代がある。

・今先進国の人間たちの多くそう思えなくなっている。

 新興国が経済的に強くなるといっても昔の先進国が経済的に成長していた時代とは違って、

 やはり夢は持てなくなる。

・自分達で出来る範囲、アームスレングスという、手が届く範囲をどれだけ実際に自分でコント

 ロールできるようにするのかという自治が大事。

・なにかにつけて、クレクレタコラ的に、国は何やってんだと要求する、

 日本そして先進国もそうなってる。

・そういうやり方ではどんなルールを新しく作っても現在の空洞化状況を簡単に手当すること

 は難しい。



























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