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クリプトアナーキズムの危険性

2021.4.10 UP CLOSE from JAM THE WORLD

SPINEAR

青木 理 (ゲスト : 社会学者 宮台真司)

ナビゲーター :青木理さん(以下、青木)

ゲスト :宮台真司さん(以下、宮台)

 

青木

宮台さんよろしくお願いしますよろしくお願いします

これあの、月1スピナーでの配信ということで継続するのですが

宮台さんの月イチを待望する声がですねこれ本当にたくさんあったということで

ぜひ紹介を宮台さんにお付き合い頂きたいんですけれども


宮台

有難うございます 宜しくお願いします


青木

まあ、あのネットでも配信ということなのであんまりこう

jam the worldのとき時みたいにこうなんとかなこう日々のニュースをかけていくっ

ていうことはもあまり必要ないかなと思うので是非あの宮台さんとこう

関心領域・興味領域を積極的に取り上げていきたいんですけれども

その前にちょっと宮台さんに僕はどうしても聞きたいことがあってね


宮台

はい


青木

あの例のワクチン。。なんですけれども

まああの4月の12日から高齢者に向けてのワクチン接種が始まるっていうことで何か

そのワクチンを受けよーみたいななんかこうキャンペーンみたいなのがメディアで

繰り広げられているんですけど、これまぁ2つあってね、

日本国内でのワクチン開発がもう全然ダメだったっていう問題もそうなんだけれども


宮台

お笑いでした(笑)


青木

しかしそのこう、OECDの各国をみてもね

日本は今、接種率もビリッケツ。G7はもちろんですけれどね


宮台

はい


青木

世界平均が今5.3回くらいらしいんですね。100人当たり。

日本は0.7とか0.8


宮台

そうですね


青木

この惨状について宮台さんどう思われるか。僕はこれだけは宮台さんにコメントをいただきたいなと。


宮台

統治の力、ガバナンスが全く能力が無いんですね。

で、まぁ安全保障だとか集団安全保障だとかギャーギャー言ってる連中もいたけれども

事実上、日本なんか戦争したら一瞬で負けるって事がこれでわかるわけです

なぜかというとコロナ対策にどういう風に対処できるのかっていうことがどんなに

国際協力があったとしても、ワクチンの争奪戦見ても分かるようにね

これ事実上やはり戦争なんですよね

で、その戦争なのにまったくガバナンスができていない

例えば日本は東アジアではコロナ対策の負け組なんですよね

2020年の人口当たりの死者数をみると

もちろん東アジアはヨーロッパやアメリカのまあ1/50あるいは、それ以下なんです

ところが東アジアだけで見ると日本は完全な負け組なんですよ

具体的に言うと台湾の人口当たりの死者数は日本の90分の1以下です

中国も日本の9分の1以下です、で、韓国も日本の2分の1以下なんですよね

それ日本は完全なの負け組なんですよね

つまり戦争に負けているという風に言っていい。

で、どうして負けているのかって言うと、

単に pcr 検査をちゃんとできないからです

まあこれは何でもね、Jamtheworldで申し上げたけど

基本あの無症候感染がメインなので

無症候者が捕捉されないでウロウロしていればどんどん感染するんですよね


ところが日本でやっているのは、感染者でたらその周辺にいた濃厚接触者を追跡

するというやり方です。なので、まぁ今はもうすでにですね

あの感染者が発症して感染しているってわかった人のうちのまあ7割以上が

あの実は、クラスター追跡の外側で見つかっているんですよね

で、まぁこれは

そのなぜ日本だけが pcr 検査がその無症候者に対してできないのか

つまりどうしてpcr の件数を上げられないのか

でこれも実は、霞が関も政府も永田町も、全然把握できないっていうね

結構本当にね喜劇にもならないようなお笑い状態で

その日本の劣等性は本当に凄い、

いやほんと日本すげーっていうのは劣等性がすげーってことなんですよね


青木

これだから今おっしゃってるの安全保障っていう面でねワクチンの開発あるいは

ワクチンの争奪戦

もちろん、ワクチンの副作用とか副反応と色々あったっていうような

ことがあったんだけれども

これだけ無惨になってしまうってのも、宮台さんがいう統治能力・ガバナンス能力の

欠如って、これ語り始めるといろいろ話があるんでしょうけど

決定的なのってのは何だと思います



宮台

それは基本的に、publicについてのマインドやコミットメントが無いんですよね

例えば省庁で言えば省庁というまあこれも沈みかけた船の中でもまあ座席争いをする

まあ浅ましい役人や官僚だらけ、つまりヒラメだらけ。

特に菅が官房長官になって以降のいわゆる首相官邸

あるいは首相周りを見てみるとこれも結局

ヒラメ・イエスマンで揃える

もちろん官邸には官僚も入っていくんだけど

従来の象徴の中の次官レースを勝ち残った人間ではなくてむしろ負け組の劣等感に

いわば

まあこれを釣るような形でつないでいくわけですよね


なので首相のケツを最もよく舐める人間だけが官邸に取り揃えられる

で、政治家もそうで選挙制度の問題でね

小選挙区制になって、政党交付金なども特に首相に集中しているっていうことで

自民党の中も実はヒラメだらけになっている



青木

まあアレですよね 宮台さんがおっしゃってたように以前にその

マックスウェーバーの言葉でしたかね。

つまり官僚組織ってものがね、必然的にこういうヒラメ化していく

っていうのはある種、宿命ではあるんだけれどでも

それをこう、そもそも二流の政治が、劣化を一層加速させてほぼ

政・官の統治能力がこの10年20年で急速に失われてきたと。


宮台

そうです

そもそもの理由は、マックスウェバーに従えばやはり

社会自体が劣化していてその劣化は、人格の劣化

つまり没人化によるのだっていうことですよね

わかりやすく言えば損得マシンだらけになる

入れ替え可能な、損得計算をするようなAI、いつでも置き換えられるようなね。

そういう意味でいえば

人が劣化して、社会が劣化したので

もちろん有権者もまともな政治家を選べない。劣化しているから。

さらに有権者が選ぶ政治家もそもそも枯渇して劣化しているっていう状況があるので

で、まぁ日本がどこよりも早くまあ没落しつつある

まあ破滅しつつあるっていうことでね

これはその僕はプロセスとしてはすごく良いことだっていうふうに申し上げていて

それはなぜかというとあのほんと日本すげーっ言っても、その劣等性がすごいんだ

日本人がすげーって言っても、その劣等性かすごいんだということだね

こういうコロナ化の様な自体があることで、だれの目にも明らかになった

特に海外にも、日本はダメな国だってことが知れ渡ったっていうことがすごくいいこと

なんですね


青木

これそういうなんかねその無理やりつなげるわけじゃないんですけど

宮台さん、テックっていうものがね、ひょっとすると人類を救うのか、

あるいは人類をもっとディストピアみたいなところにいざなうのかっていう話をずっと

jamthe world の時代にされていてね

でそのまあその中でこう宮台さんからこう一つ

今日関心領域ということで、テーマの提案があったのが、これ僕もあまり詳しくない領域な

んでぜひを知ってて聞いていただきたいんですけれども


クリプトアナーキズム

と言われるものっていうものが、これ人類をその未来明るい未来にいざなうのか、それとも

終焉へといざなうのかっていうのことのようですけれども


このクリプトアナーキズムってのはどういうことなんですか


宮台

これはハイあのまずね

jam the world で申し上げていたようにテックにはね、

人間を劣化させる、つまり、

人間に良きことをしようという気持ちが湧かなくても

良きことをせざるを得ないように人を規制する誘導するようなテック

そうではなくて、まさに

そうした強制や誘導がなくても

自分でよりことをしたいと思うようなそういう人間を育てることに

役立つテックっていうのをまず分けるっていうふうに言いました


で、

クリプトアナーキズムの特徴はですね

基本、人間は所詮そういう良き存在にはならないということを前提にした発想なんですね

それを踏まえというとにクリフトアナキズムのクリプトっていうのは

暗号っていう意味です

例えばエンクリプト、デクリプトという言葉で使われますよね

あの

クリプトってのは、エンクリプトといえば暗号化することであり

デクリプトといえば暗号を元に戻す、複合するっていうことを意味するんですよね



クリプトアナーキズムっていうのはまあ一口で言えばですね

あのいわば、こうした

まあテクノロジーを使った上で暗号化を前提として

要はこの匿名制の下での自由を最大限化するべきなんだ

特に匿名制のもとでの表現の自由を

を最大化極大化するべきなんだっていう発想なんですね


で、その背後にあるのはあのもちろんですねテックの発達っていうことがある

今日ではですね、あのブロックチェーンも発達してきて

例えば、日本の行政官僚組織のような、まあ要するに官僚が劣化しつつ

あるいは劣化しきっているので文書管理すらまともに出来ないっていうような状況は

ブロックチェーンによっていくらでも補えるっていう風に

なりつつありますよね


そうしたことを考えるとトンマな統治権力、トンマな人たち、劣等な人間たちが織りなす統治権力

これをキャンセルしてなくしてしまって

テックの、まあ今だったら ビッグ・テック(BIG・TECH)のようなものですが、

そのテックが与えてくれるプラットフォームの下で

みんな自由に振る舞い、でもしやばい振る舞いがあるんだったら

すべてそれをブロックチェーンとか

まあサーベイランスAIによってチェックして

人間ではなくてAIがそのダメな奴の自由を奪っていくという風にすればいいだけだろう

っていう発想なんですね


青木

これはアレですよねその宮台さんから頂いた資料なんかを見ていると

クリプトアナーキストっていうのはまあそれをうちの一形態なんでしょうけれども

よく知られているので言うと、例のアメリカ政府の機密文書なんかばらまいた

ウィキリークスのジュリアン・アサンジとか


宮台

そうですね


青木

あるいはそのエドワード・スノーデン。


アサンジとね、そのスノーデンだと少し僕なんかは印象が違ってまぁその動機に

なんていうのかな、正義感みたいなものがあるかやないかってのは別としても


政府からしてみれば政府の機密文章っていうのスッパ抜く

あるいは漏洩するってのはとんでもない野郎だってことになるんだけど

これはクリプトアナーキストってことになるわけですか


宮台

そうなりますよね

CIAとかNSAとか行政官僚組織はまあ信用できない

とんまの集まり、劣等なアプローチしかできないそういう存在で

それはたとえばあのスノーデンなどによって

暴露されたしあるいはアサンジとNSAとの戦いによっても

暴露された。


っていう風に彼らを考えていいわけですよね



で特に最近話題になったのはね、あのいわゆる

まあ3Dプリンターで

いわゆる樹脂を使ってね自由に銃を作れるようにデータを公表した人がいるんです

でこれはコーディー・ウィルソンがて有名な人で

あの、米ワイヤード誌では、世界で最も危険な15人っていうのに選ばれた人でね

でまぁそのことからわかるようにやはり

クリプトアナリズムはとんでもないと

場合によっては青少年でさえ銃をもてるようなね

そういう社会を推奨しようとしているのだから

こんなものは非常に危険でまあはっきりいえば、トンデモ議論だっていうふうに

マスメディアあるいは一般の人たちは反応しているんですが、

実はそんなに簡単なことじゃないんですよ

んでねぇ

そこから先はですね実はかなり深い重要な話なんだけどね


ユヴァル・ノア・ハラリがCOVID19、まあ新型コロナウイルスに対するですね

各国のテックを使った対処は2つの方向に分岐していると言っている


1つめは人々の人権をあまり配慮しない中国的な垂直監視っていう方向ですよね

それに対して、2つめは、人びとの人権を尊重するその米国的な水平シェアリング

っていうことでしょうね

わかりやすく言うとあのグーグ・アップルなどが協力して開発しようとしていた

あるいは我々が知っている西側先進国のあのコロナアプリ

基本中央のサーバーには一切データを収集しないが

しかし民間のサーバーに各人の動線・行動記録

そうしたものを蓄積して

まあ僕がもし感染したとしたら感染している僕に接触しようとなった人のスマホとか

携帯情報ツールですよね、パッドとかにアラートでるっていうる仕込みを使う


青木

へっぽこすぎましたけど、「COCOA」なんかをその一つではあるわけですよね


宮台

そうなんです。でね

僕はこの区別は実は意味がないっていうふうに思っているんですね

それはあのぶっちゃけね

要は中国のテック監視は、要するに人々をヒラメにするってことですよね

うん統治権力に何かやまずいことすると補足される


青木

上を上を見なくちゃいけないってことですよね


宮台

でそれに対してあのいわゆる水平のシェアリングっていうのは

ええまあコロナだけだったらね

コロナにかかっているっていう情報が匿名の状態で人に知られる

それは良いことと思うかもしれないけど

しかし実際にはその中に含まれているのは評判システムなんですよね


青木

評判システム?


宮台

評判システム


この人はやばいタクシー客だ

この人はやばい飲食店の客だ

この人はやばい運転手だ

この人はやばい飲食店の多いお店を経営している人だ


なんていう風にお互いのその評判システム

を匿名で記録していくっていうことでね

いま日本でも食べログとかですねそれを実装しているわけでしよね

でね これがあのa 今でも問題になってるんだけど

今のところはですね

あの商業的な取引についてのランキングのシェアリングしか

されていない・出来ないっていう風になってるんだけど

これがその外側に広がる可能性っていうのをまだ

誰もちゃんとしたチェックしてないんですよね


こいつは喧嘩早いとか・すぐに暴力を振るうとか・セクハラをするとか

でそうしたことも、ウーバー的な食べログ的なシステムの中に組み入れてしまう可能性っていうのがあって

んでそれを実際にですね

ドラマにしたものがあるんですね

それはですねネットフリックスで見ることができる

ブラックミラーていうんですね

今シーズン5はでやっている人気シリーズのシーズン3

に置かれているランク社会っていうですね

番組を見ていただくと

要するに中国のヒラメ養成ツールとしての垂直的テックとは別に

ヒラメに対するキョロメ養成ツールとしてシェアリングシステムっていうようなものが

これから一般化するだろうという予想のもとで。


青木

要するに中国的な統治権力による

その上からの監視ではなくてその巨大な

そのテックなんかを基盤とする匿名によるまあある種のネットテック的な世間みたい

なものを作られたり?


宮台

そうです


青木

そういうことなわけですね

監視されるっていうか、人々が制御されていってしまう


宮台

つまりそのことがクリップアナーキズムの本質を示しているんですよね

つまりこのランク社会っていう番組が示しているのは

クリプトアナキズムがどのようにしてあの統治権力の統治機能をキャンセルできるのか

ということに関する説明なんですよ


統治権力によるその罰や餌なんかなくったって

評判システムの中であの匿名の元で人々が自由に振る舞って自由に評価をするっていう

やり方で十分に人々は縮みあがる

こういう発想なんですね

しかし実は中国のヒラメ養成システムも、そういう西側のねキョロメ養成システムを

実は全体主義の機能的な等価物なんだってことを描いたのが

ランク社会なんですよね。

非常に重要の番組なんです


でこれも僕は英語で教える大学院とかで使ってるんですよね

なぜ使うのかというと

どの国も、人も、実はこの危険を理解できるからです



つまり1回でも評判が低いものとしてですね

それが記録されてしまうと

簡単にはAIが忘れてくれないので

誰が僕に出会っても、あ~こいつウソつきだ、あ~こいつはセクハラ野郎だな

っていう風にね各人にあの統治権力を返さずに知られるって言うことが

可能になるんですよね

実際ランク社会っていうのはそういう社会なんです

つまりもっと縮めて言うとねテイクが発達してきて

そのテックも先ほど申し上げたように

人が良い人間であろうが悪い人間であろうが全く

関係なく人々に損得勘定するある種の動物性があれば

快不快を識別する動物性があれば

完全に秩序の内側に位置づけることができるって言うことなんですね

つまり、そうなるとね

僕ら一般ピープルにとってはその

同じなんですよ怯えることによって

罰を避けようとして何かをやる何かをやらない

それは垂直だろうが水平だろうが全く同じ

最終的に問題になるのは僕もよくギリシャ的って申し上げていることだけれども

罰だろうがなかろうが良いことをしたいっていう人々の内側から湧き上がる力

これをねあのラテン語ではヴァーチュ(virtue)、力っていうことなんですけども

それをまあどんどん奪うっていうことなんですよ


青木

それもあれですか 疑問を感じるのはね

たとえばその縦型のその統治権力によるその垂直型の監視だと

そのときの政権であったりとか、そのときの体制の価値観というものを

下まで押し付けようとしてくるわけですけども

横によるその匿名のそのキョロメ型の統制っていうのはね


もちろんこう、ひどいレッテル貼ることによってランク社会になることも

あるかもしれないけれども

例えば人類が進歩していく同性愛っていうものを見てみようではないか

あるいは男女は平等ではないかとかね

戦争はよくないじゃないかっていうような進歩っていうものも

ある種、強制させて人間を統制していくところもあるから

両面があるのかなという気がするんですけれども。


宮台

そう簡単にはいかないんですよね

まず例えば既に中国で起こっている事例をお話しします。

例えば僕は中国人だとしてね

まあアニメ

特に日本のアニメがすごい大好きでそれをたくさん見て

コメント批評を書いているそういう人間だとしましょう。

ある日突然中国の公安当局が中国人である僕を訪れるんですよ


我々のAIサーバーがあの機械学習に基づいてあなたが危険人物であるというふう

にマークをしたと。

だからこれから交番に連行すると。

で僕は言うわけですよ

「ちょっと待ってくれ俺はアニメにしか興味がない

 政治的なメッセージは一切書いていないからおかしいんじゃないか」


「それは我々には判断できません

「AIの判断なんです。なので我々はAIの3判断に従うように言われているだけなので

 あなたを連行します」


つまりこれはねあの僕が20代のときに書いた

権力の予期理論っていう本におけるね権力の脱認証化の暗黒面なんですよね

つまり私としての私があなたを連行しようとっていうのではない

AIが判断したと。

しかも ai は機械学習に基づいているのでディープな機械学習

もう皆さんご存知のように、どうしてAIがそのような判断をしたのかってことを

トレースできないんですね

またそれユヴァル・ノア・ハラリが言うような

神のようなAIってポジションになるわけです。

AIの判断を我々はトレースつまりシミュレーションできないですね

で中国の統治権力もそのようなテックにより多く依存していく方向に渡りつつありますから

でそうするとあの統治権力のトップがね

いや私の意向ということではなくてAIがそれを危険だと判断していて

我々あるいは私はそれに従っているだけだっていう風に

言えてしまうそれは言い訳としても言えるし

実際それ結構実装した場合には実際そうなってしまうっていうことなんですよね



青木

その独裁っていうものの特徴かもしれないけれども

その独裁者の意向を、ある種、周辺の人たちが先取りして動くみたいな現象が

AI化によって起きるっていうか更に加速するっていう。。


宮台

そうですね。あの一部にているんだけど違うのは結局独裁権力の周りにはね

独裁者っていうのは自分と同じような独裁者に簒奪(さんだつ)される、

クーデターを起こされる可能性をいつも恐れるので

周りにイエスマンばかり揃えるんですよね

日本の首相官邸を見れば分かるように

イエスマンって基本的に頭も悪いし、能力も低いんですよ

なのイエスマンで固めた独裁政権っていうのは

例えば韓国映画でね今年になって公開された「南山の部長たち」っていうね

朴正煕政権の堕落とクーデタを描いた作品だけれども

まさにそれが描かれている。

つまり独裁者の周りにはバカしか集まらない

っていうことですよね

ところが独裁者が特に機械学習をするAIを手にするってことは

それを、つまりそういう危険を横に置くことができるって言うのでね

独裁政権はより懸命になる

あるいは独裁者の側がAIに尋ねて何をすれば政権転覆あるいは政権に従わ

ない人々が出てくる危険があるのかということを

まあAIに聞くことによってで答えを結びくってことも

実は当然なされるようになるわけですよね

でそうなった時に体制いわゆるレジームの違いっていうのは


少なくともですねあのいわゆる国民って言われる人たちにとってはあの

ほとんどなくなってしまうっていうことにポイントがあるんですね

でそれを抽象化するとじつは

西側か東側かあるいは水平か垂直かっていうまあ

違いは、人が投資する場合の差異であって

基本は、AIが発達して

それに人々が依存するようになるって事が起これば体制の主体は

もはや問題ではなくなっていくっていうことで実際はそうなりつつあるっていうところから見ると

クリプトアナキストたちのいう方向に動いて、既にいるということですよね


青木

しかしそう考えて話を伺っていると

クリプトアナキズムっていうのは、かつてのアナキズム思想みたいなものとは

ずいぶん様相が違って、政府に変わる、

集団統制システムみたいなものがアナキズムと称して出来上がっていく

っていう相当嫌な社会っていうかいうような嫌な世の中ですね


宮台

そうですね

もともとアナキズムっていうのは無政府主義って訳されているけど

これはもう無秩序であっていいということではなくて

国民国家のような巨大な社会における中央権力、政府を認めない

っていう発想なんですよね

つまりあの国家を否定する中間集団主義

これが無政府主義で。

国家に代わって・まあ人口1万とか2万のその最大規模の小集団の中で

かつてのジャンジャックルソーがいうような意味での代議制を使わないような

発想なんです。元はね。


で実は社会学もそれに近い発想を取るのですけれども

ただしヨーロッパを見ては分かるよう

我々ができることは我々がやってそれができないことについては

上のレイヤーにいる行政場合によっては国家委ねていくっていう

そういう発想なので社会学は国家を否定しない中間集団主義なんですね

でそれを提唱したエミール・デュルケームという社会学者は

従来の国家を否定する中間集団主義であるアナキズムに対してね

それでは秩序が、つまり統治が成り立たない」って言ったんですね

どういうことかっていうとね

統治っていうのは何かっていうのをもう定義してしまいましょう

これは異なる共同体の間のコンフリクとバトルを防ぐ働きのこと。これが統治。

あるいは異なる個人の間のコンフリクトやバトルを防ぐ、争いを防ぐというのが

統治なんですね。

でこういう統治概念を最初に提唱したのが

まああのホッブズですね

まぁ17世紀の有名な思想家であるわけです

でね


社会学者エミール・デュルケームからみると、

例えば個人同士がね、争うのと同じように中間集団同士も争うだろう

それを統治の機能なくしてどうやって解決するのかと


っていう風に考えてアナキズムを批判したんだけど

ところが今申し上げたようにね

テックにサポートされたクリップアナキズムであれば

統治権力なんかなくったってAIが前さばき後さばきを

どんどんしてくれるってことですよ


でそれは不完全な人間が例えばまあ安倍政権・菅席券あるいはバカな

官僚たちや政治家たちなどに判断を委ねるよりは

ずっとマシ、本当にマシです。ある意味。

ということで結論から言うと

まあ社会学者からアナキストに対する批判は簡単には成り立たなくなったんですね

しかし僕はクリプトアナキズムに違和感を持ちます

この違和感を共有してほしいと思うんだけど、

それは要するに我々は

今の中国がそうなっているのと同じように

結局、ポジションが失われないようにただ損得勘定で前に進むだけの存在

になってしまう可能性がある

同じことなんですよね。だから

クリフトアナキズムって無政府主義の一種だと言われているけど

実際にはまさにブラックミラーのランク社会を描いているように

それは全体主義と同じものなんですね

でそのことをあの

今のこの段階で皆さんがよく理解おくっていうことが重要だと思うんですよ


確かに阿部・菅、その周りにいる官僚のブザマぶりは本当に嫌です


だからといってクリプドアナキズムが言うような方向性に行くと

それは今の中国と同じようになる

まあ今の中国ってご存知かもしれないけれども

もちろん違反とかね喧嘩とか、 反政府的な活動とか、ネガティブな否定的な点数として

クレジットスコアとして集計されていくだけじゃなくてね

子供の送り迎えしているとか

あるいは

ポランティア活動をしているとか

あるいは

遠くにいる老親の介護に勤しんでいるとかってことがあると

すべてプラスにカウントされていくんだことになる

そうすると変な話だけど

うちの家庭は父さんも母さんもにこやかでねとても秩序だったいい家族です

って言ったって

本当は家族全員が自分の信用スコアを気にして、自分の得点が下がるのを気にして

それを上げようと思って、ニコニコ平和に振舞ってるだけかもしれない

そしたらそんなものは家族じゃないでしょってことなんです


青木

お話聞いているとその中国型のね、垂直型のね

監視社会みたいなもの、それにテックっていうのが結びついた上で

今の日本に蔓延してる、まぁ宮台さんがよく使われる言葉で言えば

ヒラメキョロメポジション取りみたいなことが横行する社会っていうものが合体すると

それこそ最悪のディストピアになりかねないっていう。。


宮台

ホントにそう思います

なので言葉的にね全体主義か無政府主義かっていうところにこだわると

それこそそれは言葉の自動機械であって

実際そこでね、まぁそうゆう時空間をいける人間たちに

どういう体験が与えられるのかってことで想像してほしい


でそうするとクリプトアナキズムは

テックを利用するが故に、全体主義と変わらないんだっていうことが分かるだろうと思うんですね


青木

宮台さんがいいとも言われるように統治権力というのは

異なる共同体間のコンクリクトみたいなものを解決するものだっていうんだけど

やっぱりそれぞれの身近にきちんと地に足のついた共同体

あるいはその仲間っていうものをつくって、きちんと生活を営むっていうことを一つ


それからもう一つはやっぱりヒラメキョロメを止めてやっぱりそのこう自分が

生きるためにどういうことをしていくべきなのかということをきちんと考えるっていう



この両輪で抵抗していくしかないってことですか


宮台

そうです

そうしないと、僕たちは人を好きになれなくなっちゃいますよね

この人は、どうせ信用スコアを気にして良さげに振舞ってるだけだろうと思ったら

そんな人を愛せますかっていうことなんですよね

だから僕の知り合いの若い中国人たちはね

今の中国は既にそうなってるんだけれども

どうやって抗うのって言ったらね

あの中国の信用スコアって、「芝麻信用」(じーましんよう)っていうのを使ってるんだけれども

基本的に5点なんですよね。満点が5点

いろんな出会い系マッチングアプリなんかもう

あの高級なアプリであれば、信用スコアを見せて4点以上だよっていうことを

証明しないとコミュニケーションの輪に入れないようになったりしているんですね

一見よく見えるかもしれないけどね

あの僕の知り合いの中国人たちはこういう僕らは

4.2ぐらいまでが

一つの妥当性の限界じゃないかつまりそれ以上信用スコアいい人間っていうのは

日常絶えず絶えず信用スコアを気にして生きているクズだろうと



青木

あれですよね 食べログを見て店を選ぶときみたいなかっいくらなど高すぎてどー

なんだろう値段が高いんじゃないかとか何かちょっと頭おかしいんじゃないかとか、

かといって低いところには行きたくないし、みたいなことが

人間を選ぶとき人間後見るときに、はびこりかねないっていう。。



宮台

そうですよね

中国人が教えてくれているようなあの知恵があるんだと思う

ただその知恵が意味しているのは、

やはりね

絶えず信用スコアを気にしている損得野郎を友達や恋人にはしたくないというね

まあ人間的な感情なんですよ

でその人間的な感情はね、実はゲノム的に僕らから失われることは永久にないんですね

じゃあそれを考えると全体主義であろうが

クリプトアナーキズム的な全体主義であろうが

やっぱりこれは人間的な自然に反しているというふうに結論せざるを得ないでしょ

ということですね。はい


青木

わかりました皆さんクリプトアナキズムから始まって

あのいろいろついていくの大変でしたけれども

面白い話聞かせていただきましたありがとうございます














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